SFによる相対化 その1 [名文句]
例えば他者を理解するためには、まず自身を客観視し、相対化してみることが大切である。様々な視点からものを見ることによってのみ、人は他者に対して寛大になることができるだろう。SF作品に登場する異星人・ロボット・超能力者・・・・・・の言動は、時に思いもしなかった視点をもたらす。そしてその視点は、人類、地球、あるいは我々の宇宙までも相対化する。
死体を燃やしたり、水中の微生物に蝕ませたり、地中に腐らせたり、まるっきり憎悪に満ちあふれた破壊行為ではないか! 死者に対する侮辱だ! 神への反逆だ!
(筒井康隆「幻想の未来」より。『幻想の未来』所収。)
―― けっこう強烈。様々なミュータントが誕生した未来世界の話。あるミュータントたちは、死んだ同族の死体を食べる習慣を持っている。その習慣を人類に非難され、彼らはこう反論する。
お互い理解しあえるのは、ほとんど「点」なんだよ。同じ構造の脳をもつはずの人間どうしでさえ、例えば魂を交換できたとしたら、それぞれ想像を絶する世界が見え、聴こえてくるはずだ。
(岩明均『寄生獣(10)』より)
―― 寄生生物ミギーの台詞。人間以外の生物にこういった台詞を言わせられるのが、SFの醍醐味である。
われわれは星屑でできている
(カール・セーガン『人はなぜエセ科学に騙されるのか(上)』より)
―― これはSF作品ではないけど、強く印象に残った言葉なので特別に。人体を構成する原子は、はるか昔にずっとかなたの赤色巨星の中でつくられた、という意味。
私は動揺した。恐怖した。死んでもリセットされない世界があるなんて! 人生がたった一度しかないなんて! 信じられない。しかも全員が自意識を持ったメインキャストだなんて。そんな世界で人を殺すということは・・・・・・。
呆然となった。なんて恐ろしい。爆弾ひとつで、何十人、何百人ものメインキャストが永遠に消滅するんだ。それなのに、お互いにそれを知っているのに、人は殺しあっている。
(山本弘「正義が正義である世界」より。『アイの物語』所収)
―― 例えば、ドラクエの世界の住民の目には、現実世界はどのように映るだろう? 「正義が正義である世界」は、そんなアイディアを鮮烈に描き出した作品。上の台詞は、コンピュータ・シミュレーションの世界で生きる女子高生・彩香の独白。
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しおっちブログの記事「SFによる相対化 その1」に触発されて久し振りに更新。 どんな常識でも疑ってみせるSFの空想って、素晴らしい面白味があるよな。 子供の頃にはよく、突拍子もない妄想に耽っては楽しんだもんだ。 例えば「じつは耳の穴の奥には人間の1秒が1年に当たるような時…[続く]







「我々は星屑でできている」
いいねぇ。
ただ詩的なんじゃなくて、事実を詩的に表現する言葉っていいねぇ。
いやほんとに事実かしらんけど。
「神は死んだ」もそんな感じだから好き。
by karasawa (2006-07-05 18:56)
事実と言って良いと思う。水素と一部のヘリウム以外の元素は恒星由来だし、鉄より重い元素は超新星由来。それらがばら撒かれるのは、主に超新星爆発によるし。
「神は死んだ」か・・・・・・。イーガンの『万物理論』に、こんなやりとりがあった――
「フリードリッヒはきらいか?」
「いや全然。ヨーロッパ最高の哲学者たちは、みんな発狂するか自殺している」
by duznamak (2006-07-06 11:33)