ヘロインになろう [その他]

よく知られた話だが、コカ・コーラの「コカ」は、コカインの「コカ」である。発売当初、コカ・コーラには、本当にコカインが成分として含まれていた(と言うか、コカインがメインだった)。ちなみに、ペプシ・コーラの語源はdyspepsia(胃痛、消化不良)であって、pepsinではないらしい(出典はこのページ)。当時のペプシ・コーラにペプシンが含まれていたかどうかは、よく分かっていないんだそうだ。
「コーラにコカインが含まれていた」なんて、いま聞くとトンデモない話に思える。しかし、当時、コカインの有害性はよく認識されておらず、さして危険なものとも思われていなかったようだ。なんとも恐ろしい話だが、はたして現代に生きる我々は、過去の人々を笑うことができるだろうか。「かつてカフェには、本当にカフェインが含まれていた」、「アルコール飲料が合法的に売買された時代があったらしい」などと言われる時代がやってくるかもしれないのだ。そして、それは遠い将来の話ではないかもしれない。信じられない? だが、タバコ喫煙者に対する目がこの数十年でいかに変化したかを思えば、あながちありえない話でもあるまい。
・・・・・・と、ここまでは前置き。今回の話題の中心は「ヘロイン」である。コカイン同様、よく知られている麻薬だ。ちなみに「ヘロイン」はバイエル社の登録商標で、化学的には「塩酸ジアセチルモルヒネ」と呼ばれる。世の中には、名前が実態と正反対なものがあるが(註1)、ヘロインもまた、そういったものの1つである。
非常に古くから知られる麻薬の1つに、「アヘン」がある。アヘンには何種類もの麻薬成分が含まれるが、その主成分が有名なモルヒネだ(morphine。英語風に発音すれば「モルフィン」。「モルヒネ」はオランダ語風の発音)。モルヒネは非常に強力な鎮痛・麻酔作用を持つが、同時に強い依存性と中毒性も持っている。
そこで人々は考えた。モルヒネの「良い成分」、つまり鎮痛・麻酔作用のみを抽出しよう、と。依存症や中毒症状をもたらす「不純物」を取り去ろう、と ―― そして多大な努力の末に、それは完成した。人々は、"heroisch"な効能を持つ(はずの)その薬品を「ヘロイン(Heroin)」と命名した。ちなみに、"heroisch"は、「英雄的な」という意味のドイツ語である。モルヒネから不純物を取り去ったそれは、まさに「英雄」になるはずであった。
ご存知の通り、そうはならなかった。鎮痛効果も依存性も、どちらも同じ物質のもつ作用だったのだ。それらは、決して単離することができないものなのだ。そしてヘロインは、史上最悪の麻薬の1つとなった。
ヘロインの依存性は、モルヒネの10倍以上とも言われる。そして、その禁断症状は、時に人を死に追いやるほど強烈だ。それゆえ、ヘロイン依存症患者は、「ジャンキー(junkie)」と呼ばれる。「くず、がらくた」という意味だ。
また、ヘロインは、非常に強い中毒症状を引き起こす。個人差が大きいものの、ヘロインの致死量はコカインの4分の1以下とされる。
その禁断症状によって、あるいは中毒症状によって、ヘロインは多くの人命を奪ってきた。しかし、一般に「英雄」と呼ばれる歴史上の人物がどういった人間であるかを考えれば、あるいは「ヘロイン」の名は、妥当なものであったのかもしれない。
(註1) 科学に興味を持ちはじめた小学生時代、「超新星というのは、めちゃくちゃ新しい星のことに違いない」と思っていた。英語を習い始めた中学生時代、地球が巨大な磁石であることを知っていた僕は、「N極のNは、NorthのNなんだから、地球のN極は北極にあるに違いない」と思っていた。N極が南極(付近)にあることなんて、小学校レベルの知識で分かることなのに・・・。
参考文献・サイト
中村希明『薬物依存』(講談社)
中山純『悪い薬』(データハウス)
宮里勝政『タバコはなぜやめられないか』(岩波書店)
平成3年 警察白書
Coca-Cola
Heroin
Pepsi
コカ・コーラ







(記事違いやけど)
フランスファイブがNHKに登場したらしいで。
http://d.hatena.ne.jp/RORA/20060707/1152179666
by はっとり (2006-07-06 23:09)
さすがNHK! フランス・ファイブって戦隊もののお約束をしっかり理解してるし、出来栄えもとても素人とは思えんよな。僕はイエロー・バゲットが好き。
ところで、フランス人って、何でこんなに日本文化が好きなんやろ? 7月5日の朝日新聞にも、こんな記事が載ってた。
「『あこがれの日本』へ家出」
日本の漫画やロックに魅せられたパリ郊外に住む16歳の少女2人があこがれの日本を目指して家出。(・・・中略・・・)朝鮮半島までは鉄道を乗り継ぎ、「海は船で渡ろう」と計画。(・・・後略)
――そういうのは、「計画」とは言わない気がするのだが・・・・・・。ビザなしでベラルーシに入国しようとして捕まったらしい。旧共産圏を旅行する面倒臭さを知らんかったんやな。旅行の細かい計画書を提出しないとビザくれない国もあるというのに・・・・・・。百歩譲って仮にロシアまでは抜けられたとしても、北朝鮮にはどうやって入るつもりだったんだろ?
by duznamak (2006-07-07 07:39)